2010年06月09日

CSRで「キャンペーン」を仕掛ける危うさ

先日、アヴェダ・ジャパンのPRマネージャー、黒岩典子さんを講師に招いてセミナーを開いた。そこでアヴェダ哲学の片鱗に触れ、その思想の深さに驚かされた。

まずはアヴェダのミッション・ステートメントを紹介しよう。

アヴェダの使命、それは製品作りから社会還元まですべての活動を通じて、命あふれる私たちの地球を大切に守り続けていくことです。美の世界のみならずあらゆる世界のおいてリーダーシップと責任をもって環境保全の模範となる企業を目指します。

まさに環境と経営を同軸に置いた、力強いステートメントである。

黒岩さんによると、アヴェダには多くの「べき」「べからず」がある。

まず、社内でペットボトル飲料を飲む社員は一人もいないという。その代わり、みなマイボトルを使っている。

イベントを開く場所や宿泊先を選ぶ際にも、公共交通で容易に行ける場所を選ぶなど、環境に配慮した選び方が求められる。

パンフレットなどでは「環境に優しい」という表現はタブーだそうだ。あいまいで責任の所在が分かりにくいからだ。その代わり、「環境負荷が低い」などとの表現を使う。

キャンペーンという言葉も用いない。キャンペーンとは一時的なムーブメントに過ぎず、継続性が求められる環境・CSR活動にはそぐわないとの考えだ。

オルタナも全く同じ考えだ。

オルタナ11号の特集「ソーシャル」と「ブランド」を考える――で
下記の5つのポイントを指摘させて頂いた。

@献身的 すぐに見返りを求めない
A持続的 すぐに止めない
B独創的 同業他社と横並びではない
C本質的 表層をなぞらない
D全社的 特定の個人に頼らない

例えば、1Lの水が売れるたびにアフリカに10Lの水が供給されるように援助するキャンペーン。

もちろんその志は素晴らしいが、残念ながらこれは「通年」ではない。その意味で、あくまでキャンペーンであると言わざるを得ない。コンビニでペットボトルの水が売れる春から秋までに限定された活動だ。
今日付けのウェブサイトでは「プログラム期間:6月1日―8月31日」とあるので、最近はもっと短くなったのかもしれない。

冬にこの商品が売れてもアフリカに支援のお金は行かない。
企業側にも事情があると思うが、できれば通年のプログラムにしてもらいたい。

チョコレート1つの売り上げについて1円が途上国に寄付される「1チョコ for 1スマイル」も残念ながら「キャンペーン」の域を出ない。

日本のチョコレートの大半はガーナなど西アフリカから来ている。それなのになぜエクアドルに寄付をするのか――。フェアトレードの市民団体、チョコレボで広報を担当する小笠美佳さんは疑問を呈する。

ちなみにチョコレボでは500円の商品のうち200円もの額を寄付に充てる。その意気込みは素晴らしい。

企業のCSR活動は、裏が透けて見えれば興ざめだ。ましてや継続性や寄付先についての疑問を消費者から指摘されるようでは、ブランドに対する悪影響すら心配しなければならない。

それでもオルタナは、企業のCSR活動を今後も側面支援していきたい。やらない企業よりは遥かにましだからだ。

だが、市民や消費者らの意見も積極的に取り上げたい。それが良き企業市民が育っていくための最善の方法だと信じている。
posted by setsumo at 19:44| 東京 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月02日

鳩山さん、日本のアル・ゴアになれ!

鳩山首相が次期総選挙に出馬せず、事実上の引退宣言。

あのNYの国連演説、CO2の25%削減はなんだったのか。

初志貫徹して、民主党の環境政策を後方支援してほしい。

鳩山さん、日本のアル・ゴアになれ!
posted by setsumo at 19:07| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月31日

資生堂は、女性たちの抗議行動にどう対処するのか

下記は、2010年5月30―31日ごろに、twitter で飛び交ったコメントである。まずは読んでみてほしい。

(以下、引用)
oyakatafuku RT @mahalo_tomo: 動物実験やめて!、と、資生堂さんにウルサク言うのは、資生堂さんならば、この悲惨な現実を変えていけると思うから。その力のないところには、アタックしません。どうか、動物たちに優しい企業になって下さい。 #ssat

meruko24 RT @vivi_happieta: 資生堂さん、正直ガッカリです。欧米の売上に配慮したから2013年動物実験廃止を目指されるのですね。日本人の反対運動は無視ですか。4万6千の署名は無視ですか。何より肝心の動物への配慮は置き去りですか… #ssat #pet #usagi

mini2065 そうだそうだ? RT @mahalo_tomo: 資生堂さん。あなたがどこまでマジで動物実験の全廃を目指しているのか伝わってこないです。イメージを損ねないためですか?命の尊厳をマジに考えたら、即全廃でしょう。どうか消費者をみくびらないで。 #ssat

chatonchaton RT @vegetarian_kei: 資生堂のシャンプー「TSUBAKI」はシリコンが入ってるんだって! 気持ち悪い!! シリコン塗って髪がツヤツヤ〜って喜んでる人はちょっと痛い。そして苦情対策に無慈悲な動物実験。売れれば良いの王道パターン。 #shiseido #cosmetic #ssat
(引用終わり)

彼女たちが、資生堂など日本の化粧品メーカーに対して糾弾しているのは、化粧品やシャンプーなどの「動物実験」である。これにより、大量のウサギやモルモットが使い捨てにされているからだ。

今回の抗議行動の中心的な存在は、「動物実験廃止を求める会」(JAVA)という市民団体だ。若い女性を中心とする一般市民も多く参加している。

JAVAのホームページを見ると一目瞭然だが、彼女たちの批判はストレートで、遠慮がない。「日本の消費者はおとなしい」という通説をひっくり返したくなるほど、直情的だ。

資生堂は、トップ企業であるがゆえに標的にされ、対応を迫られている。6月5日には、銀座でデモも計画されている。http://www.usagi-o-sukue.org/demo.html

資生堂は来年3月までに自社での動物実験をやめ、2013年3月までに外注も含めて全廃を目指すことを明らかにしたが、それでも女性たちは納得していない。

日本の消費者による、日本企業に対するこれほどまでに強烈な抗議行動は、近年では例がないのではないか。

今回、問題を難しくているのは、資生堂などによる動物実験は、明らかな日本の法令違反とまでは言えないことだ。

犯罪、法律・法令違反、偽装などであれば、迅速かつ適切に対応してきただろう。だが、今回はそのいずれにも当たらない。それなのに、消費者から厳しい指摘を受けているのだ。

しかし、資生堂の前田新造社長は明らかに対応を誤った。

2009年12月18日、JAVAの質問書に対する、前田社長による文書回答がその一例だ。

(以下、引用)
――弊社は、「お客さまに安心して有用な商品をお使いいただくこと」と「動物愛護」の両立を目指しており、化粧品については、商品の動物実験を実施しておりませんが、化粧品に使用される一部原料については、動物を使わない代替法がすべて確立されている訳ではなく、それらについては動物実験を含む安全性試験が法規により求められております。
このような状況から、今回の「2009年中にすべて廃止」というご要望にお応えすることはできませんが、弊社のホームページ等で公開していますように、今後度も、産官学の連携のもと、代替法の開発による「動物実験全廃」に向けた取り組みを積極的に行ってまいります。(引用終わり)

これでは、「木で鼻をくくったような文章」と言われても仕方がない。

この文面からは「当社だけが動物実験をしているのではない、日本の役所が動かないから当社も動かないのだ」という潜在意識が透けて見える。

また、「法令に違反していないのに、一消費者グループからの要求に折れると、次々に消費者から要求されかねない」という強迫観念も推測される。

そして、下記のような紋切り型の回答を繰り返してしまった。

Q1 :貴社資生堂並びに系列会社において、化粧品開発に際して、過去3年間に行った動物実験の種類およびそれに使用した実験動物数を実験動物種毎にお答えください。
というJAVAの質問に対して――
A :「回答できない」。回答することにより、弊社の動物愛護の精神や、製品の安全性に対する考え方が正しく伝わらないと判断しますので、回答は差し控えさせて頂きます(2009年2月25日付、資生堂の回答)。

このような誠意がない対応に対して、消費者たちの怒りがさらに増幅した。

化粧品の動物実験については、欧州がいち早く対応し、すでに動物実験の全面禁止を打ち出した。同様の対応に踏み切れない日本政府の対応も責められるべきだが、企業がそこに安住していると、消費者から思わぬ批判を受けることを、一連の騒動が物語る。

以上を考慮すると、資生堂には次のような対応が求められるだろう。

1)日本の法令や行政指導にかかわらず、資生堂が一刻も早くすべての動物実験を廃止することを表明すること。

2)他の企業や取引会社にも働きかけるなどし、化粧品業界のトップである矜持を内外に見せること。

3)消費者グループや市民団体に対して、経営者が常に胸襟を開き、対話する姿勢であることを見せること。

6月5日のデモは、ひょっとすると小さな市民団体が大企業を動かす、先進的な事例になる可能性を秘めている。それだけの「うねり」を感じさせる。

JAVAのホームページでは、資生堂だけではなく、資生堂のCMに出演している女優たちや、株主たちの姿勢を問う記述まである。海外ではよくある手法だが、これが日本で見られ始めたことは興味深い。

これまで、日本企業は「おとなしい消費者」に甘やかされてきた一面があった。

しかし、日本企業がひとたび外に出ると、米国でも、欧州でも、中国でも、消費者の厳しい視線や抗議行動にさらされる。今回の事例は、むしろ日本企業の目を覚まさせる好例になるかも知れない。

米国でも欧州でもNPOや消費者団体からの「圧力」が、大企業の環境政策、CSR政策に大きく反映してきた。日本でも、そういう時代がようやく近づいてきた。

一つだけ間違いなく言えるのは、もし資生堂が「英断」に踏み切ったら、女性たちに高く評価され、それはブランドの新たな飛躍につながるということである。





posted by setsumo at 22:37| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月30日

J&Jもボディショップも、ケーズデンキも「株主より社員が大事」

前回のコラムで、ザ・ボディ・ショップの創業者アニータ・ロディックが「ステークホルダー」という言葉をつくったことを書いた。

アニータは、同社のステークホルダーとして社員、顧客、取引先、会社・お店が存在するコミュニテイ、コミュニテイで活躍するNPO、株主を挙げ、その順番に大事であるとした。

つまり、社員は何よりも大切なステークホルダーであり、顧客や取引先よりも大事だというのだ。

株主は、最後だ。

単なる偶然か、必然なのか分からないが、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)も、ほぼ同じである。

J&Jの「我が信条」(CREDO)は、経営学の授業でも良く出てくる、有名な文章だ。その「我が信条」は下記の通り、「四つの責任」を明らかにしている。

第一の責任は、我々の製品およびサービスを使用してくれる医師、看護師、患者、(中略)そしてすべての顧客に対するものであると確信する。

第二の責任は全社員に対するものである。

第三の責任は、我々が生活し、働いている地域社会、更には全世界の共同社会に対するものである。

我々の第四の、そして最後の責任は、会社の株主に対するものである。

J&Jによると、この「四つの責任」の重さはその順番通りになっているそうだ。製品と顧客が何より大事で、その次は社員。そして地域社会。

J&Jも株主が最後だ。

「我が信条」を起草したのは、J&JのCEOを31年間も務めたロバート・ウッド・ジョンソンJr。

1943年に初めて取締役会で発表した時、「株式公開企業になるのだから、株主を最後にするのはおかしいという意見があったという。

しかし「顧客第一で考え行動し、残りの責任をこの順序通り果たしてゆけば、株主への責任は自ずと果たせるというのが、正しいビジネス論理だ」と切り返したそうだ。

こう書いていて、20年以上近くの新聞記者時代、家電業界の担当をしていたころの取材を思い出した。

家電量販店大手ケーズデンキ(当時はカトーデンキ)の加藤修一社長もこう語っていた。

「お客さまは神様です、というけれど、それは違います。お客さまより社員が大事です。なぜなら、社員が幸せでなければお客さんを幸せにできるわけがありません」

また、ある東証一部上場企業の幹部は、オルタナとのインタビューで次のように語っていた。もしステークホルダーの中で順番を付けるとすると@株主A従業員B顧客――です。

あらゆるステークホルダーの中で、誰が最も大事なのか、その順番付けはどうか。

この命題には、一つの明確の答えはないのだろう。だが、「誰を最も大切にするか」という問いに対する答えは、まさに会社の経営者の考え方を反映したものであり、企業の理念が伝わってくる。

皆さんの会社ではどうだろうか。





posted by setsumo at 16:26| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「ステークホルダー」という言葉をつくった 女性

最近よく使われる「ステークホルダー」という言葉は実は、ザ・ボディショップの創業者であるアニータ・ロディックがつくった造語であることは存外、知られていない。

それまではシェアホルダー(株主)という言葉しかなかった。

従業員、顧客、取引先、会社・お店が存在するコミュニテイ、コミュニテイで活躍するNPO、そして株主など企業の関係者を総称して、ステークホルダーと呼んだ。

ステークホルダーの優先順位もボディ・ショップにとっては重要であった。

そして、「ビジネスとして成功することと同じ価値観をもって、企業は世界が直面する問題(環境保護、人権擁護、動物愛護など)に企業として関心を持ち、企業としての責任を明確にし、その責任を毎日のビジネスを通して果たしていくべきである」という21世紀型経営理念がアニ
ータの経営理念だった。

残念ながら、アニータは2007年9月10日に病気で逝去したが、彼女はまさに、21世紀に求められる「CSR経営」を地で行く経営者であった。

創業は今から34年前。1976年、英国ブライトンに第一号をオープンし、夫ゴードン・ロデイックの提案であるフランチャイズ方式を導入し、更に、新しい経営理念に共感する世界中の同志をひきつけていき、いまや世界64カ国で2500店舗以上を展開している。

先住民達の知恵を原料に、調達先を援助ではなく取引を(コミュニティトレード)、世界中で行われている人権蹂躙に立ち向かい、人間のエゴで動物達が犠牲になってはならないと動物実験へ反対し、風車による自家発電に挑戦。彼女がこだわった価値観は、世界中の企業に影響を与
え続けている。

◆アニータ・ロディックのCSR
  ――オルタナABCセミナーのご案内

上記のアニータの哲学に直に触れた、ザ・ボディショップ ジャパンの創業社長である木全ミツさんに、「アニータ・ロディックのCSR」を直接、お伺いします。

とき:6月18日(金)19:00〜21:00
ところ:カフェano 
〒150-0001東京都渋谷区神宮前5-7-12ワイス・ワイスビル1階

料金:5000円(食事・1ドリンク付き)
   ABC会員のうちA会員、B会員は4000円です。
   C会員、D会員は無料です。

主催:株式会社オルタナ
問い合わせ:オルタナ編集部(担当:館岡景子)03−3498−5372
お申し込み:下記フォームへ⇒ http://j.mp/dAVFFy


木全ミツさん略歴:
福岡県久留米市生まれ、1960年東京大学医学部卒
1960−90年、労働省(海外協力課長、大臣官房審議官)、
1986−89年外務省(在ニューヨーク国連公使)、
1990−2000年、ザ・ボディショップ ジャパン創業社長、
現在NPO法人JKSK理事長、CSRフォーラム理事、
日本フィランソロピー協会理事など。





posted by setsumo at 15:46| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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