2010年05月31日

資生堂は、女性たちの抗議行動にどう対処するのか

下記は、2010年5月30―31日ごろに、twitter で飛び交ったコメントである。まずは読んでみてほしい。

(以下、引用)
oyakatafuku RT @mahalo_tomo: 動物実験やめて!、と、資生堂さんにウルサク言うのは、資生堂さんならば、この悲惨な現実を変えていけると思うから。その力のないところには、アタックしません。どうか、動物たちに優しい企業になって下さい。 #ssat

meruko24 RT @vivi_happieta: 資生堂さん、正直ガッカリです。欧米の売上に配慮したから2013年動物実験廃止を目指されるのですね。日本人の反対運動は無視ですか。4万6千の署名は無視ですか。何より肝心の動物への配慮は置き去りですか… #ssat #pet #usagi

mini2065 そうだそうだ? RT @mahalo_tomo: 資生堂さん。あなたがどこまでマジで動物実験の全廃を目指しているのか伝わってこないです。イメージを損ねないためですか?命の尊厳をマジに考えたら、即全廃でしょう。どうか消費者をみくびらないで。 #ssat

chatonchaton RT @vegetarian_kei: 資生堂のシャンプー「TSUBAKI」はシリコンが入ってるんだって! 気持ち悪い!! シリコン塗って髪がツヤツヤ〜って喜んでる人はちょっと痛い。そして苦情対策に無慈悲な動物実験。売れれば良いの王道パターン。 #shiseido #cosmetic #ssat
(引用終わり)

彼女たちが、資生堂など日本の化粧品メーカーに対して糾弾しているのは、化粧品やシャンプーなどの「動物実験」である。これにより、大量のウサギやモルモットが使い捨てにされているからだ。

今回の抗議行動の中心的な存在は、「動物実験廃止を求める会」(JAVA)という市民団体だ。若い女性を中心とする一般市民も多く参加している。

JAVAのホームページを見ると一目瞭然だが、彼女たちの批判はストレートで、遠慮がない。「日本の消費者はおとなしい」という通説をひっくり返したくなるほど、直情的だ。

資生堂は、トップ企業であるがゆえに標的にされ、対応を迫られている。6月5日には、銀座でデモも計画されている。http://www.usagi-o-sukue.org/demo.html

資生堂は来年3月までに自社での動物実験をやめ、2013年3月までに外注も含めて全廃を目指すことを明らかにしたが、それでも女性たちは納得していない。

日本の消費者による、日本企業に対するこれほどまでに強烈な抗議行動は、近年では例がないのではないか。

今回、問題を難しくているのは、資生堂などによる動物実験は、明らかな日本の法令違反とまでは言えないことだ。

犯罪、法律・法令違反、偽装などであれば、迅速かつ適切に対応してきただろう。だが、今回はそのいずれにも当たらない。それなのに、消費者から厳しい指摘を受けているのだ。

しかし、資生堂の前田新造社長は明らかに対応を誤った。

2009年12月18日、JAVAの質問書に対する、前田社長による文書回答がその一例だ。

(以下、引用)
――弊社は、「お客さまに安心して有用な商品をお使いいただくこと」と「動物愛護」の両立を目指しており、化粧品については、商品の動物実験を実施しておりませんが、化粧品に使用される一部原料については、動物を使わない代替法がすべて確立されている訳ではなく、それらについては動物実験を含む安全性試験が法規により求められております。
このような状況から、今回の「2009年中にすべて廃止」というご要望にお応えすることはできませんが、弊社のホームページ等で公開していますように、今後度も、産官学の連携のもと、代替法の開発による「動物実験全廃」に向けた取り組みを積極的に行ってまいります。(引用終わり)

これでは、「木で鼻をくくったような文章」と言われても仕方がない。

この文面からは「当社だけが動物実験をしているのではない、日本の役所が動かないから当社も動かないのだ」という潜在意識が透けて見える。

また、「法令に違反していないのに、一消費者グループからの要求に折れると、次々に消費者から要求されかねない」という強迫観念も推測される。

そして、下記のような紋切り型の回答を繰り返してしまった。

Q1 :貴社資生堂並びに系列会社において、化粧品開発に際して、過去3年間に行った動物実験の種類およびそれに使用した実験動物数を実験動物種毎にお答えください。
というJAVAの質問に対して――
A :「回答できない」。回答することにより、弊社の動物愛護の精神や、製品の安全性に対する考え方が正しく伝わらないと判断しますので、回答は差し控えさせて頂きます(2009年2月25日付、資生堂の回答)。

このような誠意がない対応に対して、消費者たちの怒りがさらに増幅した。

化粧品の動物実験については、欧州がいち早く対応し、すでに動物実験の全面禁止を打ち出した。同様の対応に踏み切れない日本政府の対応も責められるべきだが、企業がそこに安住していると、消費者から思わぬ批判を受けることを、一連の騒動が物語る。

以上を考慮すると、資生堂には次のような対応が求められるだろう。

1)日本の法令や行政指導にかかわらず、資生堂が一刻も早くすべての動物実験を廃止することを表明すること。

2)他の企業や取引会社にも働きかけるなどし、化粧品業界のトップである矜持を内外に見せること。

3)消費者グループや市民団体に対して、経営者が常に胸襟を開き、対話する姿勢であることを見せること。

6月5日のデモは、ひょっとすると小さな市民団体が大企業を動かす、先進的な事例になる可能性を秘めている。それだけの「うねり」を感じさせる。

JAVAのホームページでは、資生堂だけではなく、資生堂のCMに出演している女優たちや、株主たちの姿勢を問う記述まである。海外ではよくある手法だが、これが日本で見られ始めたことは興味深い。

これまで、日本企業は「おとなしい消費者」に甘やかされてきた一面があった。

しかし、日本企業がひとたび外に出ると、米国でも、欧州でも、中国でも、消費者の厳しい視線や抗議行動にさらされる。今回の事例は、むしろ日本企業の目を覚まさせる好例になるかも知れない。

米国でも欧州でもNPOや消費者団体からの「圧力」が、大企業の環境政策、CSR政策に大きく反映してきた。日本でも、そういう時代がようやく近づいてきた。

一つだけ間違いなく言えるのは、もし資生堂が「英断」に踏み切ったら、女性たちに高く評価され、それはブランドの新たな飛躍につながるということである。





posted by setsumo at 22:37| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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