2010年03月25日

「ツバルの面積がこの20年間でむしろ増えたこと」についての考察

沈みゆく国とされている「ツバル」の面積が、1984年からの20年で、実は3ヘクタール近く(2.8%)増えていることを知った。

そのきっかけは、イースクエア会長の木内孝さんがオルタナ最新号(18号)の連載で書かれている「私がツバルで見た真実」である。

記事の一部を抜粋しよう。

――事前に訪問したフィジーのスヴァにある、欧州からの援助機関で運営されている研究機関SOPAC。そこの中心的研究者アーサー・ウェッブさんの話だと、20世紀100年の海面上昇は17センチ。その一方で、1984年から2003年までの20年間で17島の面積は、海岸線の移動などにより2.8%大きくなっている。

メディアの記事では「ツバルは水没の途にあり、国土面積は縮小し始めている」などの記述もあるため、てっきり海岸侵食が相当進んでいるのかと思っていた。

一体、ツバルでは何が起きているのか。

それを解き明かしてくれるサイトに出会った。

環境省職員から(財)地球環境戦略研究機関(IGES)に出向している岡山俊直氏(在バンコク)がプライベートで作成したウェブサイト「ツバル写真集・地球温暖化でツバルは沈むか?」である。
http://ncc1701d.bufsiz.jp/index.html

詳しくは同サイトを参照して欲しいが、ポイントは下記の通りである。

1)ツバルのような環礁では、波の動きが砂浜の形成に大きく影響する。波によって砂が流される砂浜もあれば、波によって砂が堆積し、砂浜が広がっている場所もある。

2)今のツバルにおいて、温暖化の影響はごく僅か。少なくとも2009年現在において、ツバルに海岸侵食や内陸浸水をもたらしているのは、地球温暖化による海面上昇以外の要因がほとんどと言える。

3)最大の問題は、人口の増加、過密による生活排水や、適切に処理されていないゴミによる水質汚染が進んだ結果、有孔虫やサンゴなどツバルの砂浜をつくっている生物が
死に絶え、砂が供給されなくなり、海岸浸食が進みやすくなっていること。

環境省, 2009は、ツバルの現状について以下のようにまとめている。

「問題は、決して「海面上昇による水没」という単純なものではない」とした上で、現在のツバルが抱える危機は「グローバルな要因」と「ローカルな要因」の複合によってもたらされているとしている。

そして、「環礁州島の危機はグローバル・ローカル両方の環境ストレスが複合したものであり、現在発生している問題は主にローカルな要因によるものである。ローカルな要因によって、今世紀予測されている地球規模変動に対して脆弱性の高い州島になってしまっている」。

 つまり、現在主に発生している人口増加やそれに伴う経済活動という「ローカルな要因」が、将来予想される海面上昇を含む気候変動の悪影響という「グローバルな要因」に対して脆弱性を高めている、ということである。

このサイトを読んで、環境問題の難しさと、人智を超えた自然の営みの大きさを思い知らされた。

もちろん、ツバルの面積が増えているからと言って、気候変動やそれによる海水面の上昇を否定するつもりは全くない。

ただ、ツバルが持つ「複層的な現状」を理解しないで、単純にツバルは水没していると思い込むことは怖いと感じた。

そして、このことをオルタナの読者や、日本の市民に広く伝えることは、ジャーナリストとしての義務だと感じた。

これが今回、私がこのコラムを書いた理由である。

岡山氏のサイトでは、次のように結んでいる。

「海面が1m上昇したら日本はどうなるでしょう?ちなみに東京はこうなります(下図)」http://ncc1701d.bufsiz.jp/81/81.html

「ツバルが沈む時は、日本の都市だって壊滅的な被害を受けるのです。その意味では、ツバルも日本も運命は同じなのです」

海面上昇を、遠い南洋の島国やヴェニスのことだけだと日本人が考えていたら、大きな不幸である。

そうならないためにも、より多くの、複眼的な情報を皆さんに伝えていきたい。












posted by setsumo at 23:53| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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[環境]ツバルの面積は増加している
Excerpt: オルタナ森編集長のBlogに、地球温暖化による海面上昇問題でもよく引用されるツバルの話題がありました。 「ツバルの面積がこの20年間でむしろ増えたこと」についての考察 ――事前に訪問したフィジー..
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Tracked: 2010-03-31 21:48
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